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粗にして野だが卑ではない 

2008年2月号

 今、日本中にダメ情報が蔓延している。私もしつこく憂えてきた。しかしこの自信喪失と虚無的なネガティブサイクルからそろそろ抜け出さないと、日本は本当にダメになる。しかしさて、一体どうやって抜け出したらいいものか。

 日本という国の仕組みは、重度の制度疲労を起こしてしまっており、その仕組みに寄り掛かってきた人たちの心も病んでいる。しかし一方で、まだまだ たくさんの人たちが、少しでも社会を良くしようと心を砕いてくれている。志あるこの人たちに、自分もできればそうなりたいと願っている人たちを加えると、 心が病んでしまった人たちの数よりも、はるかに多いにちがいない。
 ならば道理は簡単だ。見事な生きざまをしている志ある人たちを見つけ出すよう心がけよう。そしてその人たちの立派な点を紹介し合って誉め合おう!そんな情報が広く行き渡りさえすれば、たくさんの人たちの中に、目覚めが起きて、元気が出る。
 これらの人たちが、自分の「分」に合った勇気を出して動き出しさえすれば、日本は確実に良くなるという算段になる。なにせ日本を良くしようと動き始める人が、生活者の過半数を占めるのだから、社会の本筋に曲がりが出ようはずもない。

 そうだ。毎日、心を弾ませてくれる「ほのぼの安らぎ」「熱い感動」「なるほど納得」「心底敬服」それに「ほとばしる情熱」…をひとつひとつ探し出そう。そしてそれを伝え合いたい。

 そう思っていたら、早速素晴らしいニュースに出くわした。以下は、福島県矢祭町の根本町長と職員、住民間の見事な仲間振りだ。
 ◇2001年:安易な町村合併が横行する中、貧乏で厳しい財政状況を抱える町ながら、町長は合併しないと突っ張り宣言し、職員がそれを支えた。嘱託27人の首切り。助役、課長はトイレ掃除。課長は4職兼務。三役以上は30%給与カットetc.。臥薪嘗胆…職員は実によく耐えた。
 ◇「365日働く役場」を掛け声に、窓口は毎日2時間延長で、1年間休日なし。何と、買い物したスタンプ券で税金を納めてもよいという離れ技をやってのけた。
 ◇2003年:町長は、「もうどうしても家族孝行したい」と引退宣言。住民の慰留運動が起き、町長は「なるようになれよ!」と、鼻から涙を流して辞意撤回。
 ◇2006年7月:町の悲願の図書館づくりを決意。予算は、古い武道館の改築費のみ。肝心の本は、「本は買ってそろえるもの」という図書館行政の常識を 破って、全国からの3万冊ほどの無償寄贈に期待した(送料は寄贈者負担だ)。1ヶ月後に10万冊、3ヶ月後に20万冊、最終的には40万冊が寄贈され、 2007年1月に「もったいない図書館」としてオープン。運営は、住民のボランテイアによる。
 ◇2008年、あらためて引退表明。24年間の在職で、初めてで最後の「ありがとう!」の一言を残して退任。
    「粗にして野だが卑ではない」…どこから見ても田舎の好々爺・根本さんが、訥々(とつとつ)と自分の頑固節を語っているのを見て、この城山三郎の 名著を思い浮かべた。日本の男たちは今、この言葉をこそ噛み締めたらいいと思う。日本流「ノブリス・オブリージ」を見事に演じてくれた根本さん、お疲れ様!  

 【工藤】


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