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社長コラム

工藤さん

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男ってダメね~
地べたの声を聞くから

2016年11月号

  一世を風靡したイベント・プロデユーサーの故本木昭子さんが、ぼそっと呟いた言葉だ。僕はなぜか、彼女が何を言おうとしているかを即座に理解できた。新日鉄から独立して生き方を模索していた25年前のことだ。

 …男って、心の地べたからささやく弱い自分の声ですぐに挫けちゃう。まわりの地べたの声をあれこれ気にし過ぎて、前に進めない。女は、自分の地べたの声を聴いてる暇などないわよ。まわりの地べたの声なんか気にしないで、決めたらまっすぐ突き進むのよ。

 現政権は、女性が活躍できる社会づくりを標ぼうしている。大いに結構なことである。確かに延々と続いた男性勝手社会の仕組みの中で、女性が故なき差別や不遇を受け続けてきたのは事実である。しかし男って一体、上から目線で弱き女性を語るほど強いのか、今の日本は、男たちが女性に機会を分け与えるという、そんな悠長な状況にあるのか。
 失われた時代を25年間も続けている現代日本に突きつけられている問題の本質は自明であり、課題は溜まりに溜まった利権の構造にメスを入れ、不作為という馴れ合い構造を徹底的に破壊して、新しい創造に向かうことである。  
 これまで何度も何度も、男の指導者たちには出番があった。しかしその度に馴れ合って、微修正という不作為でお茶を濁すだけで、孫たちの世代に繋げる創造を怠ってきた。
 ロマンを追うのが男であり、現実に生きるのが女だという。しかし男社会のいまの日本には、ロマンも展望もなく、あるのは五重苦という厳しい現実だけである。厳しいこの現実を、一体どう切り盛りすればよいのか…けだし現実の切り盛りは、女の領分である。何のため、誰のために切り盛りするのかが自明でブレないのが女の本性である。母親は我が子を守るためにこそ、まなじりを決して戦う。母の愛は命がけで一途である。我が子のためには、周りのことなど目もくれず、障害に立ち向かう。とてもわかり易い破壊のエネルギーである。

 男勝手社会の建前と剛の強さの世界が破たんした以上、男たちは主導の位置を、女たちの破壊エネルギーと切り盛り能力に明け渡すべきである。そして新・日本創造の基軸を、拡大志向でなく切り盛りの妙、国家でなく家庭、全体でなく個人、ロマンの遊びでなく現実直視、コケオドシの剛さでなくやさしさに柔らかさ、建前を捨てて本音の徹底に大転換すべきときである。今の日本には、世代交代に加えてジェンダー交代が急務である。

 いま、女性の力が旬である。政官界をみるがよい。女性にはブレのない強さがある。東京都議会との対決も辞さない決意で就任した小池都知事が、伏魔殿・東京の恥部を抉り出している。他の二人の男候補などには絶対にできない一途さだ。「私が自民党です」といって、小泉政権と対決して刺客を派遣された野田聖子議員は、またまた安倍自民党のなーなー体質に反旗を翻している。現政権にも、超タカ派を演じて恥じない女性閣僚2人がいる。まわりを気にする男閣僚にはここまでのことはできない。虚偽公文書作成疑惑の冤罪で逮捕された村木厚子元・厚労省事務次官は、逆境に騒がず凛として、胆力で無罪を勝ち取った。

 広く世界を見てみよう。ドイツのメルケル首相は、欧州の実力者である。国論が2分して混乱したイギリスには、レッドソム女性首相が就任した。ミャンマーの国の運命を預かるのはスーチーさん、米国の次の大統領はクリントン女史である。世界の大統領、首相には15人もの女性が就任している。身近には、韓国の朴大統領、中華民国の蔡大統領が居る。
 もはや世界は、地球環境破壊や貧富の差の問題に頬被りして、GNPの数値ゲームに興じたイケイケどんどんの時代を終え、限られたパイの中で何を取捨選択してどう切り盛りできるかが厳しく問われる時代になった。切り盛りは女性の領域…これがいま、世界的に認知されたということだ。
 これからの日本は、子や孫たちへの深淵な愛と献身の情に溢れる母親たちにこそ託すべきであり、歴史的に、男どもがスタックしたその度毎に、叡智で救ってきた女たちの力にこそ託すべきである。

【工藤】

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