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社長コラム

工藤さん

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良好な隣国関係は歴史的傷痕を見据えてこそ

2017年4月号

  過去に拘らず、未来を見つめよう…最近日本政府が、日韓、日中、日露関係をはじめ、外交問題について好んで使うフレーズである。そしてこのフレーズが使われた途端、あたかも何かが解決された錯覚に陥るから不思議だ。しかし、世界中にパラダイムチェンジが起きつつある今、国益を守るには、過去を暈(ぼか)して、現在という積み木細工の上で安易な妥協をするのは危うい。目を見開いて歴史の傷痕を見据えた上で戦略を立てることこそが肝心である。
 一体アメリカは、仲良し国と思って頼りきって本当によいのか? ロシアは北方領土を簡単に返すほどお人好しの国なのか?韓国はどうして、厭になるほど反日なのか?中国とはいがみ合うしかないのか、中国との友好路線は成り立たないものなのか? 等々、北朝鮮の狂気も含めて、日本を取り巻く国々との間に疑問は尽きない。これらの国々との歴然たる事実を見つめ直すことから出発しない限り、真に良好な隣国関係を構築する叡智は出てこないと思う。さてそれで、歴然たる事実とはいったい何なのだろうか。

 アメリカは、現在の日本にとって非常に大切な国であり、戦後70年にわたって保ち続けてきた友好関係は、日本の貴重な財産である。しかしこれまでのこの日米関係が、今後もそのまま続くと、安易に考えてはいけないと思う。そもそも一見良好な日米関係の奥底には、実は悪夢のような傷痕が潜んでいる。この傷痕に学んだ上で、水面下で必死の水掻きをしてこそ、日本にとって安心な日米関係がやっとこさ成り立つのだと思う。
 日米の傷痕の第一は、白人至上主義のルーズベルト大統領が、有色人種でありながら頭をもたげ出した日本を、ABCD(米英支蘭)各国と組んで、経済封鎖で危機に追い込み、最後は「…日本は無警告攻撃をやるので悪名高い国だから…我々に過大な危険を与えさせず、日本が第一発を発砲するような立場に誘導するにはどうしたらよいか(日本大使にハル・ノートを手交する前日のホワイトハウス・戦争諮問委員会での大統領発言)」と、負け戦に引き込んだことであり、日本が開戦の無謀さをわかりながらも謀略に乗って、取り返しのつかない選択をしたことである。

 「リメンバー、パールハーバー」…真珠湾奇襲攻撃は国際法違反として、長い間日本人の心を塞いできた。しかし一方で、米国太平洋艦隊駆逐艦部隊司令官だったロバート・シーボルド少将が「日本軍が奇襲する以前、すでにアメリカ駆逐艦ウオード号が、日本の特殊潜航艇を撃沈している(自著:真珠湾の審判)」事実を告白し、この攻撃は、ルーズベルト大統領の「すでに日本との外交交渉は終わった。これからは、諸君の手で解決されなければならない」という通告に基づいて行われたと証言している。日米関係の歴史的事実を考えるとき、真珠湾の奇襲や特殊潜航艇への無通告攻撃を云々するこれまでの視点は、木を見て森を見ぬ類いであり、ルーズベルトによる日本叩きの大戦略こそが、あの時の日米関係の歴史的真実だったといえると思う。
 この悪夢によって私たちは、強大国が牙城を侵される危険を感じたとき、従来の関係などかなぐり捨てて、自分都合をなりふり構わず暴力的に押し付けてくることを学習した。そしていま、トランプ大統領を選んだアメリカは、まさにそれをやり始めている。

 日本は簡単に一億総懺悔を行ったが、実は太平洋戦争裁判は、歴史の真実追求の場ではなく、アメリカという勝者による一方的な糾弾裁判でしかなかった。判事の中で唯一の国際法の専門家であったインドのパール判事は、「平和と人道に対する罪は、戦勝国により作られた事後法であり、これで裁くことは国際法に反する」と言い、「ハル・ノートのようなものを突き付けられれば、モナコ王国やルクセンブルグ王国でさえ戦争に訴えただろう」と断じて、この裁判の妥当性に根本から疑問を投じている。日本はこの、正義や人道という国家の背骨に関する真実についてさえ、70年間にもわたり、沈黙を守り続けてきた。

 さらに、米・英・仏・露・中の連合国5か国は、国際連合の心臓部分である安全保障理事会において、1945年時の勝利者という一過性の立場でしかないにもかかわらず、常任理事国として拒否権を独占し、世界193か国の生殺与奪の権を70年間にもわたって牛耳り続けている。理不尽の極みである。
 アメリカのGHQが、日本の国家主義を弱体化するために打ち出した、日本の歴史と伝統文化を否定し、白人文明を至上なものとして学ばせた教育は、70年間にわたって、日本の子女教育に深刻な歪みを与えてしまった。日本人の心の支えを取り外し、西洋コンプレックスに貶(おとし)めてきた戦略は、同じ日本人を、戦前戦中世代と戦後世代に分断し、日本の伝統文化の継承上大きな支障を来している。

 日本は、アメリカと仲良くやるために、アメリカのポチと言われながら、難問を吹っかけられる度に、徹底して従順にアメリカの意向に従ってきた。そのお蔭で、アメリカの核の傘の保護を得て軍備を圧縮でき、世界に冠たる日本経済と良好な日米関係を構築できた。しかしその状況下でも、アメリカの都合が変われば、ニクソンは電撃的に、日本の頭越しに米中の親密外交を行った。その時のフィクサーだったキッシンジャーの教え子たちが政権の中枢に入っているトランプ政権は、安倍首相を歓待する一方で、中国には大人の外交を仕掛けており、いずれ、大国同士の戦略的取り引きをするだろうと思われる。アメリカ頼みの中国敵視政策一辺倒の日本は、その時どうする?そこで慌てても、もはやTOO LATEである。

 日本は、アジアの一国として、白人の搾取からアジアを解放するという大義をもちつつも、結局、白人帝国主義の物真似をして、朝鮮、満州、中国その他のアジア諸国を、大義を無くしたままに侵略し、孤立してしまった。
アジア解放というこの大義は、白人の帝国主義に搾取されていたアジア諸国のリーダーたちに希望を与えることとなり、中国の孫文も蒋介石も、インドのガンジーも独立運動の志士ボースも、フィリッピン独立の祖アギナルドもリカルテも、日本と共同歩調をとり、またはとろうとした。日本と闘った蒋介石でさえも、日中戦争の拡大は白人国を利するだけであることを看破し、何とか日本との講和を試みたが、その度にルーズベルトが割り込んだためにできなかったという。中国とは敵対するしかないのか、中国にもその気はないのか?…いや、歴史は必ずしもそうでない事実を証言している。
いま、アジア繁栄の潮流にある。日本はアメリカ一辺倒でなく、中国敵視に凝り固まらず、中国と同質の規模を競う愚はやめて、同朋アジアの真のリーダーとして、アジア諸国と、そして中国とも共生していく道を、必死に模索すべきと考える。

 しかし、中国と仲良くすることは、中国に擦り寄ることではない。成吉思汗を思い起こすまでもなく、中国は周辺国を飲み込んで14億人の大国となったものであり、その本質は膨張志向である。その歴史的本質が、現在は習金平の一帯一路戦略と太平洋をアメリカと分割支配しようとする戦略として表れていることは周知のところである。この膨張の戦略手は何と、日本国内の隅々にまで伸びており脅威である。
例を引こう。中国資本が買収した北海道の森林農地は、7万ヘクタール、山手線の内側面積の11倍以上の広さに至っているらしい。在日中国人のチャイナウオッチャーによると、一部中国メディアの間では、北海道は、10年後には、中国の第32番目の省になると予想されているという。国家ベースでの領土拡張・侵略の歴史を持つ一方、民間レベルでは、華僑が世界中に閉鎖的なチャイナタウン・チャイナファミリーを構築し、世界中に隠然たる勢力を謳歌している。日本のあちらこちらに閉じたチャイナタウンが出来るのか。

日本に滞在する介護技能実習生の70%が中国人で、日本における介護を支えている。また、日本政府は、国内に滞在している外国人高度人材に、1年で永久ビザを与える施策を取ったが、この高度人材の50%以上を中国人が占めている。このように、国内の様々な分野で中国人は活躍しており、その数は70万人にものぼる。ところで中国には、「国防動員法」があり、外国に居住する中国人民も、異常事態発生の際は、中国共産党の配下として動かなければならないとしている。この時70万人の中国人はどうするだろう?日本国内の中国化は、諸分野において隠然と進んでいるのだ。

 中国敵視の政策に救いはない。中国との共生も一朝一夕になるものではない。米中の狭間にあって、まずはアメリカと中国の歴史的本質を見据えた上で、どちらに擦り寄るわけでもなく、徒に同質の規模を競うでもなく、中規模だが世界にとって掛け替えのない、文化・技術・成熟大国として、世界から尊敬される大義を構築すべきであると思う。ただし、この努力と並行して、自衛力の一層の強化が必須となる。
 剥き出しの敵意と排除で、対立と抗争を続ける世界にあって、多様性を尊び慮りと共生を旨とする日本の叡智は、十分に世界の大義足りうると私は信じる。

 韓国はどうして、いやになるほど反日なのか?それもそうだろうと思う。秀吉の朝鮮征伐に始まり、1910年から1945年まで、35年間にもわたり日本の統治下にあれば、推して知るべしである。「恨」の文化は、韓国人の激し易い性格と織りなして、過剰反応の反日となった。しかしそうは言っても一方で、李王朝の圧政と絶望的な貧困から韓国の民を救ったのが、日本の統治であったことも事実である。日本は、西洋帝国主義を模倣しつつも、搾取するでなく、膨大な日本の財と技術を投じる施策をとり、これが韓国経済浮揚の礎となった。さらに、1965年の日韓基本条約に基づき、日本は8億ドル(韓国国家予算の2・3倍)の協力金を支払い、これが韓国を高度経済成長の道へと導いたのも歴史的事実である。だから日本人は、本音ベースでは、韓国から感謝されこそすれ、文句言われる筋合いはないと思っている。これでは両国間がギクシャクするのも無理はない。両国民が、お互いに自分勝手を卒業しない限り、良き隣人になれるわけがないのである。そして韓国には、国家ベースで反日を演じ続けなければならない歴史的事情がある。この国は、抗日戦争を戦い抜いて勝利した暁に建国されたとされている。しかしこの国が日本と戦った事実はない。日本が連合国に無条件降伏した結果、棚ボタ式に独立出来たのである。抗日の輝かしい勝利によって韓国は誕生したと標榜する韓国は、虚偽を隠ぺいするために、否応なしに「反日」を演じ続けなければならない運命を背負っている。
日本政府はこれまで、この韓国と、お互いの歴史を正視し合うことなく、その時その時の積木細工の上で妥協してきたため、いつも同じ問題を繰り返されて、今回も、10億円もの額をドブに捨てた上で、日本大使館前の慰安婦撤去さえもできない体たらくである。

 ロシアのプーチン大統領と安倍首相は仲良しだという。結構なことである。北方領土返還の話題が出るたびに、この蜜月関係が演出されるが、どうしてどうして、したたかなロシアがいきなりお人好しになることを期待するなど茶番である。南樺太、満州、朝鮮半島、千島列島を、ロシア(当時ソ連)が、国際法違反を犯して略奪した歴史的傷痕がある。
当時日本とソ連は、1946年4月までの日ソ中立条約締結下にあった。敗戦必至の日本が、ソ連に仲裁を懇願し続けるのを上手にあやす振りをしながら、日本がポツダム宣言を受理する直前の1945年8月に、突如条約を破棄して宣戦布告し、日本領土を略奪してしまった。しかも、米英ソのヤルタ会談では、北海道をもソ連領土として割譲することを主張したのである。さすがにルーズベルト大統領はこれを拒否したが、ソ連は国際法違反という大罪を犯した上で、北方領土略奪という漁夫の利を得たのである。  
ロシアの北方領土占有は、ソ連の国際法違反の略奪であって怪しからん…と、日本政府が、国際舞台で正々堂々と主張し、国際世論に訴求するキャンペーンを張ったことはない。メドヴェージェフ首相が、国後・択捉を訪問して実効支配を誇示した際も、北方領土へのミサイル配備を発表した際も、日本は「遺憾である」の一言以上に、何の主張もなし得ていない。プーチン大統領と安倍首相が仲良しとか、過去に拘るのはやめようとか、北方四島に日本人がビザなしで行き来できるようにしようとか、歴史的傷跡を有耶無耶にして擦り寄って、領土返還に期待しても、世界が注視する中、クリミヤ半島を強引に侵略して平気なロシアであり、かって北日本を乗っ取ろうとした貪欲ロシア(旧ソ連)が、応じるわけがないと思う。

仲良しは結構である。ロシアの人民は、とても素朴でひとが良いという。国民同士で仲良くなるのは大いに結構なことである。しかし国家間の交渉は、世界中への宣伝合戦も駆使した熾烈な戦いである。その戦いの根幹は、北方領土は、ソ連が国際法に違反して占領しているに過ぎないという歴史的事実に依拠する大義にある。この大義に頬被りして、現在という積木細工の上でうまくことを運ぼうとするのは小手先でしかなく、謀略家プーチンに良いようにやられて徒労に終わると、私は思う。
はてさて 良好な隣国関係を構築するのは大変だ。これまでのご縁を大切にし合うのが基本ではあるが、世界がパラダイムチェンジを起こしているこの時に、仲良しだの嫌いだの、向こう三軒両隣のやり取りみたいな無垢で感傷的なやり方は通用しない。相手国の歴史的本質を見据え、世界の新たなパワーバランスを測り切った上で、必死にそして冷徹に、新たな国家戦略を一個一個創造し、積み上げていくほかないのだろう。

【工藤】

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